daretachi座談会 Ⅷ 「日記」
川口 「日記」。
浅倉 つけてた人ー?
日ヶ久保 あ、交換日記やってた。小学校。
古市 うん、小学校。
日ヶ久保 4人で。男の子2人、女の子2人。はやってましたよね。
古市 なんか知らないけど、やろうって言われた。
浅倉 交換日記っていうのは、自然にやめちゃうもののなの?
古市 私の場合は、やろうって言ってきたKさんが「古市・命」って書いて、私にも「K・命」って書いてくれって要求されたの。
日ヶ久保 すごい好きだったんじゃない?(笑)
浅倉 それ男の子?
古市 いや女の子。私、「○○・命」っていうのの意味がわかんなかったの。それで母親に聞いたんだよね。そしたら、「そういうのはやめなさい」って(笑)。
一同 (笑)
古市 それでやめたのかなあ、多分?
川口 ひとりで日記をつけてる人は?
日ヶ久保 そうだ、小学生のころにつけてたことがあったんだ。で、それを一番上のお姉ちゃんに盗み読まれて、「すごい気持ち悪い」って言われてクチ聞いてくれなくなっちゃって、ごめんなさいって泣いて謝ったの(笑)。
一同 (爆笑)
日ヶ久保 それで「文章は書いちゃいけないんだ」って思って。で、泣いて謝ってたのを二番目のお姉ちゃんが「一緒に本屋行く?」って連れ出してくれたの(笑)。
浅倉 俺も一週間位書いたことがある。常に「俺このままじゃだめだ」と思って。「もう17になるのに何をしてるんだ」と思って「日記をつけてみよう」。
川口 ははは。
浅倉 日々を振り返って反省すればましな人間になるかもしれない、って思って。で、一週間書いて、読み返してみて、「あーこれだめだ!」って捨てた。
一同 (笑)
浅倉 だめだね。日記なんてつけるもんじゃない。
神保 アメリカのドラマでさ、『天才少年ドギー・ハウザー』っていうのがあって。毎回最後に主人公がパソコンで日記を書いて、終わるのね。それに憧れてしばらくパソコンで書いてたんだけど、あとで読み返したらものすごいひどくて。フロッピー折ったからね。
一同 (笑)
神保 「こんなもの残してはいけない!」って。
川口 僕、大学入ってからずっと日記つけてましたね、創作ノート兼っていうか。野田秀樹に憧れてて、ノートが出版されてるんですけど(『定本・野田秀樹と夢の遊眠社』河出書房新社)、ずっと書いてたんですけど、戯曲書かなくなったのもあって、つけなくなりましたね。
川口 作品の話をすると、これ『マシーン日記』っていうけど、誰の日記なのかがいまいち分からなくって。または登場人物4人が等分に告白していくのであればいいんだけど、そうでもなく。
浅倉 うーん。
川口 それが上手かったのがテレビドラマ版(『演技者。』)で、4人それぞれの立場から告白っていうかいろんなこと言う形をとっていて。『マシーン日記』っていう対して、そこをなんとか落とし前つけたいな、って思ってて。スライドなりナレーションなりで。
神保 エンディングで日記が書かれるわけでもないしね。
川口 日記っていうより独白、告白体の文章と、近代的自我って関係が強いと思うんですよね。『若きウェルテルの悩み』とか。告白体によって個人というのものが浮き出てくる。
浅倉 そういう意味でいうとこの作品は誰も本心を綴ってるわけではないじゃない。
川口 自分を点検するために書いてるわけではない。記録の側面が強いかな。
浅倉 そもそも己を省みない人たちだもんな。
一同 (笑)
川口 だから、うまく利用していろいろな視点、角度からこの物語を見ているようになれば一番いいなと思っているんですけどね。