daretachi座談会 最終回 & フォトギャラリー
松尾スズキ作品を演じて/演出して
川口 (演出の)思惑自体はよかったと思います。リアリズム演技で感情を繋いでいって、ちゃんと戯曲として読み解くというやり方はよかった。
ただ、構造として、テーマが拡散していてひとつの物語に収束していかないっていう戯曲なので、(自身が作っていく上での)そこの見通しは甘かったなと。
でも、松尾作品はおそらく戯曲を大幅にカットしてでもリアリズム演技でやらない限り、意味がないだろうという確信も得ました。
浅倉 うーん、難しかったね。リアリズム演技って、俺の解釈では真面目にやるってことなんだけど、その上で笑いに結びつけるには、俺は器じゃなかったな。
あと、狂気という視点でお客さんは見るんだなと。俺は、アキトシは狂人とはあまり捉えていなくて、あくまでも大真面目であるという。狂気の形は人それぞれなんだなっていうのが面白かったな。
古市 (登場人物)4人がヘンな人としてお客さんに受け取られたっていう印象が大きかったね。変わってはいても自分や自分の周りにもあり得る、って思ってもらえたらよかったんだけどそこまでいけなかったかなあ。
日ヶ久保 台詞もあるんじゃないかな。どんなにリアリズムで演っても、おもしろいこと喋るから。
川口 お客さんの受け取り方や楽しみ方も含めてすごくいい体験になりましたね。次に進むためのよい機会になった。
神保 やってみて、予想していたよりも疲れるというか、消耗しましたね。でも戯曲を素直に演ったらああなっちゃったんだよね。
川口 それって、戯画的な演技に向かわずにどうにか感情をすべて繋げて動かさないといけなかったからじゃないですかね。
神保 そうね。ひとつのシーンの中で(演技を)飛躍させないと届かないなってところが結構あって。丁寧に感情を追っていったら間に合わないところでボーンと飛ばなきゃいけないっていうのは思ったね。
川口 うん。
神保 あと、松尾作品をご本人の演出とは違う形でやって、でも少なくとも作者の顔に泥は塗らないような仕上がりにできたのはよかったと思いますね。
本番中のハプニング・ミス
神保 初日に鎖の足枷が外れたのよ。
古市 あったねえ。
川口 ええ!! 全然気付かなかったです。
神保 気付いてない人もいると思うよ。地図を壁に貼って台からポンと飛び降りたらバラっと外れて。「ああっ!!」って。で、普通に喋り続けながら付け直した(笑)。
川口 あと、初日は幕の開閉がうまくいかず、お客様には申し訳なかったです。
ただあれは、初日で、しかもスタッフもいないから、っていう訳ではなく、準備万全の体制で臨んだら初めて起こったという。あんまり芝居が見えづらかったら止めようと思ってたんですけど。本当に申し訳なかったです。
日ヶ久保 あとプーさん。
浅倉 あれな。幕の前で芝居して、引っ込んだらなんか電子音が聞こえて、「あれ?」って思って。
古市 最初はお客さんかと思ったけど、「幕の裏から聞こえる?」って。
浅倉 (音は)止んだんだけどしばらくしたらまた鳴って。で、音の出処を辿ったの。そしたらどうも舞台セットの、台の中から聞こえてるらしい。で探ったらプーさんのぬいぐるみがある。「……お前かあっ!!」って、ぬいぐるみ掴んでダッシュで裏口に叩き出した。
日ヶ久保 あのぬいぐるみ持ってきたの私で。もう壊れてると思ったんですよ。そしたら勝手に鳴りだしたみたいで。最初、携帯が鳴ってると思って、「ここで鳴る!?」って思いながら芝居してて。「でもなんか懐かしいメロディ……」って(笑)。
一同 (笑)
浅倉 でも音を止める余裕まではなかったからプーさん裏口でずっと鳴ってて、近隣の住民が非常に気味悪がったと。
日ヶ久保 本当に申し訳なかったです。
ナレーション
川口 戯曲ではスライドで表示されている文章なんですけど、それを役者さんに読んでもらって録音して流しました。意図は、映像を使うのが大変だったというのもありますけど、役者本人の喋ってる声でやりたかったのが第一でした。
更に、戯曲に書かれているよりも数を増やして、そうしたことで格段に芝居が見やすくなった。それがよかったのか悪かったのかはいまいちわからないですけれど。
神保 ナレーション気に入った。もっとやっていきたい。ナレーション芝居。
浅倉 難しかった。録音したの聞いたら恥ずかしくてしょうがない。
古市 聞いたらもう、「うわあっ!」って。
神保 ケイコが体位を喋っていくの面白かったですよ。
浅倉 技の名前みたいになっててね。
神保 あと、ナレーションではないですけど、福島ハルヲ先生の声を演ってくれたピーチャム・カンパニーの八重柏泰士くん、ありがとう。面白かった。
日ヶ久保 マツザワ君の声を演ってくれた現代芸術家の村上裕くん、ありがとう。キミは役者だ(笑)。
神保 村上くん、稽古場での仮録音の時点ですごく面白かったのに、本番用に録り直したら上手くなってたものね。
川口 普通に上手くなってましたね。
アトリエしゅらでの手作り公演
川口 跡見凡さん、ありがとうございました。
一同 ありがとうございました。
川口 跡見さんというのはアトリエしゅらを所有する劇団修羅の看板俳優さんで、今回本当に助けて頂いて。
浅倉 そこらの小劇場のスタッフは跡見さんを見習ってほしい! 古き良き演劇人の矜持や生き方を見せられましたね。
川口 言っておきますけど、ご好意で特別にアトリエを使わせて頂いているので他の方は借りられませんよ(笑)。
浅倉 でもホントいい小屋だと思うよ。『マシーン日記』の上演にしゅらを選んだっていうのは成功だったね。
古市 よかったよね。
日ヶ久保 (通常のしゅらの状態から)そんなに手を加えていないもんね。壁をつけたくらいで。
川口 そうですね。すごいありがたかったのは、稽古してて「ドアがほしいですね」って言ったらドアが出てきたことですね。
浅倉 事務所用のドア引っぺがしちゃったもんね。
古市 たまにさ、跡見さんがすぐ裏にいること忘れてて話し合ってたら、聞いててくれて「あるよ~」って出てきてね。
神保 しゅらでなかったら初日までに間に合わなかったよね。
日ヶ久保 そうだよねえ。
川口 すごく助かりました。本当に。
川口 最初は舞台セットをコの字型にしようと思ってたんだけど変更して、で、しゅらに入ったらうまく合った。窓も作ったわけではなくて、元から壁のあの部分が開いてたんですよね。
浅倉 これを使わない手はないぞ! ってね。
川口 みんな当たり前のように窓として使ってるから、最初はどうかなって思って見てたんですけど、これはこれでいいかなって思って(笑)。
ミチオが寝てる台もしゅらで稽古するようになって、「ここで寝てみましょう」ってやったらあの方がスムーズにいきましたね。
浅倉 そしてコーラまみれにしたねえ。
神保 俺がコーラを吹き出させるのがだんだんうまくなっちゃって、あまりに勢い良く吹き出るもんだから自分を越してほとんど後ろの壁にかかっちゃったりして。
日ヶ久保 裏にいてすごいシュワシュワシュワー!! って音がした(笑)。
浅倉 役者だけで捌くにはあの小道具の量は大変だったね。
古市 私は小道具は楽だったから。みんな大変だったと思うけど。
神保 普段だったら開演前には神経質に何度も小道具セッティングを確認するのに、今回は「もういいや」ってなっちゃってた。
一同 (笑)
浅倉 そういうところにもミチオのだらしなさが染み付いちゃったか。
川口 部屋のどっかにあるだろう、と。
川口 村上(裕)くんにお世話になりましたね。切られた足を作ってくれて、稽古場から音響やってくれて。
古市 早い段階から音響があるってすごいありがたかった。
川口 音響をすごいやってくれてるから、自分も照明しっかりやらないとなあ、って思って。ちゃんとやりましたよ。本当はもっと暑そうな明かりにしたかったんですけど。
神保 ホントに照明で暑かったんだけど。
古市 暑さすごかったもんねー、ホントに。汗びっしょびしょだもん。
神保 後ろの窓から顔出してゲロ吐くところで、壁のすぐ裏の、目と鼻の先に照明があって。顔出しながら「暑い暑い」ってつぶやいてたら、本番3日目から浅倉さんが裏から飲み物飲ませてくれてた。
一同 (笑)。
1週間経って
神保 ちょうど(公演が終わって)1週間です、今日。
日ヶ久保 ずっと前のことみたい。
浅倉 半年かけて準備したのにあっという間だったね。
古市 あっという間だったね。始まっちゃったら早かった。
古市 まだ痛いです、体が。
日ヶ久保 私めっちゃ回復早い。あんな痣だらけでメイクいらずみたいだったのにもう脚出せる。この夏は無理だと思ってたのに。
神保 やってる最中は怒涛だったけど、楽しかったんだな、って思いましたね。
浅倉 終わったら即ガクッってくるかと思ってたけどそうでもなかったね。でも今、キてるね。
daretachiについて
神保 現代作家の戯曲をやるっていう枠組みにはちょうどいい感じだったと思いますね。この企画規模とかチーム名をつくってやったっていうのは。
川口 みんな、自分たちの解釈で現代作家の作品をもっと果敢にやればいいのに、と思いますね。
日ヶ久保 既成の戯曲でも面白いと思ったらやればいいのにね。
浅倉 今同じ時代を生きている作家の作品をやるには、オリジナルとは違う何かを明確に打ち出せなければ上演しちゃダメだと思う。そういう流れはあるんだけどまだ小さいよね。
川口 この規模で出来てよかったですね。もっと人員があったらいろんなこと考えちゃっただろうなと。でもそれなりのクオリティは維持したと思います。
浅倉 大変だったけど、裏のことまですべて自分たちでやるのは大事だったと思うよ。もちろんいろんな人たちに助けてもらったけどね。
日ヶ久保 やってよかった。
日ヶ久保 そういや、おならどうだったんだろう。
古市 ああ、おならどうだったの!? (古市・日ヶ久保の二人が舞台裏から口を使ってミチオのおなら音を出していた)
川口 効果音を使うより僕はあの方がよかったんで。
神保 俺と浅倉さんの立ち位置が逆になった時があって。浅倉さんがおならしたみたいになったことがあった(笑)。
浅倉 おならの音がしてから気付いた(笑)。
日ヶ久保 スタッフがいないっていうのは知ってても、私たちが裏でおならの音をだしてるてところにまで想いを馳せる人はいないだろうね(笑)。
川口 裏にいる人全員での総力戦ですもんね(笑)。
古市 他にいないから(笑)。
日ヶ久保 うまく音が出た日とか、二人で顔見合わせてキャッキャッって。
川口 ということで、観に来て頂いたみなさん、ありがとうございました。
一同 ありがとうございました。
公演終了しました
daretachi『マシーン日記』、全公演終了しました!
ご来場下さった皆様、本当にありがとうございました。
と、いうわけで、楽日のステージを終えたメンバー(&助っ人)たちからのメッセージをどうぞ。
浅倉
「本当に、その、楽しめなかった方もいると思うし、楽しんでくれた方もいると思うんですけれども、でも、観に来てくれたお客様には本当にありがとうございました。
いろいろと拙いところもあったんですけども、でも、現時点での精一杯は、やったと思うので、本当にありがとうございました!」
神保
「ご来場ありがとうございました。とても感謝しています。
5人で集まってやろうってことで松尾スズキさんの戯曲をやらせてもらいましたけど、戯曲が面白いので面白い芝居にすることは至上命題で、それ以外の何らかのプラスアルファを作ろうとみんなでがんばりました。もしそんなところも楽しんで頂けましたら幸いです。
今後5人はそれぞれ、いろんなことをやりますけれど、よろしかったらご支援をお願いします。ありがとうございました!」
日ヶ久保
「今回は最終的には自分自身とても楽しませて頂きました。観に来て下さったお客様もそれを共有して楽しんで下さったらな、と思っています。
三十路を前にして、スクール水着も着させていただきまして、今後このような機会はないと思いますので、ご覧になったお客様はとてもレアな方々かと。記念にと思って頂けたら幸いです(笑)。ありがとうございました。」
古市
「初日から喉を潰してしまいまして、お聞き苦しい声を披露してしまったんですけれども。
暑い中、ご来場頂きまして誠にありがとうございました。でも、夏を、より感じていただける、作品だったのではないかと思います。私も、夏の思い出になりました。
ありがとうございましたー!」
川口
「『怒りを込めてふりかえれ』という芝居の中に、
『炎の中で、血の中で、おれの血の中で、いろんなことをまた掻き集めて燃やすんだ』
という台詞があるのですが、今回の作品を演出しながらその言葉を度々思い出していました。
どうもありがとうございました。」
村上
「楽しかったです!」
そして次週は、公演を振り返るdaretachi座談会をアップ予定です。
是非またアクセスして下さい!
以下、メンバー(&助っ人)たちの今後の予定です。
浅倉洋介
【出演】
蜂寅企画『沈没しらぬゐ(仮)』
作・演出:中尾友代
2012年9月5日(水)~9日(日)
てあとるらぽう
【出演】
工場の出口『(タイトル未定)』
作・演出:詩森ろば
2012年12月初頭
アトリエ春風舎
神保良介
【出演】
詳細未定
(初秋上演予定 近日中にブログ http://blog.livedoor.jp/jimboryosuke で公開)
日ヶ久保香
【出演】
ピーチャム・カンパニー
フェスティバル/トーキョー12公募プログラム参加作品
『美しい星』
原作:三島由紀夫 演出:川口典成
2012年11月12日(月)~20日(火)
The 8th Gallery (Hotel CLASKA 8F)
【ジャケットモデル参加】
ダニースミス・プロジェクト"HEARTLAND REVISITED"
\2100(税込) DOLC-1002(LP+Digital Downloads)
2012年9月全国レコード店、Amazon.co.jpで発売
古市海見子
【出演】
鵺的『荒野1/7』
作・演出:高木登
2012年8月7日(火)~12日(日)
ギャラリールデコ5F
【出演】
MU『いつも心だけが追いつかない』
2012年10月1日(月)、2日(火)、5日(金)~8日(月)
乃木坂コレド
川口典成
【演出】
ピーチャム・カンパニー
フェスティバル/トーキョー12公募プログラム参加作品
『美しい星』
原作:三島由紀夫
2012年11月12日(月)~20日(火)
The 8th Gallery (Hotel CLASKA 8F)
村上裕
「次はわくわくという愛知の展覧会に参加します。」
daretachi「マシーン日記」公演情報
daretachi「マシーン日記」
作/松尾スズキ 演出/川口典成(ピーチャム・カンパニー)
★☆当日お越しのお客様へ☆★
松尾スズキの戯曲『マシーン日記』。
人間への愛が駄々漏れなこの戯曲に、新たな心臓の鼓動を与えるべく上演する。
daretachiはその企画名でありチームの名前である。メンバー紹介はこちら。
◎出演
アキトシ - 浅倉洋介
ミチオ - 神保良介
サチコ - 日ヶ久保香
ケイコ - 古市海見子
◎日程
2012年7月12日(木)~16日(月・祝)
12日(木) 19:30
13日(金) 14:00 19:30
14日(土) 14:00 19:30
15日(日) 17:00
16日(祝) 14:00
※開場は開演の20分前、受付開始は開演の40分前です。
◎会場
アトリエしゅら
新宿区北新宿1-18-1 川島ビル1階
・JR新宿駅西口より徒歩15分 ⇒詳しい道順はこちら
・東京メトロ丸ノ内線西新宿駅より徒歩8分 ⇒詳しい道順はこちら
※普段は稽古場として使用しているスペースです。約35席程度の観客席を予定しております。お早目のご予約をよろしくお願いいたします。
◎料金
当日精算券(事前予約):2300円
当日券:2800円
◎前売開始
一般発売:2012年6月1日(金)12:00より
◎お問い合わせ
03-5373-2975 (ピーチャム・カンパニー)
公演レポート 《 神保良介 》
初日が開けたらあっという間に5ステージが終わり、残すところ、あと2ステージです!
初日が開けた翌日から二日連続で昼夜2回公演というのはなかなかの体力勝負でもありました。
一体誰がこんなスケジュール組んだんだ、って、まあ自分たちなんですけどね。
daretachi版『マシーン日記』、観劇されたお客様には、狭さや暑さ(戯曲の設定上そうなっているのですが、実際舞台上はかなり暑いです。客席はそんなことないのでご安心を)の中登場人物たちの感情が沸点に達して無軌道に猛ってゆくお芝居を楽しんでいただいているようです。
と、いうわけで、残り2ステージ、さらにとばしていきます!
これからご覧になるお客様はどうぞお楽しみに!
※お知らせ
16日(月)14:00の回は完売となりました。当日券をお求めのお客様は畏れ入りますがキャンセル待ちとなります。よろしくお願い致します。
当日お越しのお客様へ
アトリエしゅらへのアクセスは、こちらで各駅からの道のりを紹介しております。参考になさって下さい。
・JR新宿駅西口より徒歩15分
・JR より徒歩10分
・ 丸ノ内線西新宿駅より徒歩8分
アトリエ内のお手洗いはご使用頂けますが、通常は稽古場として使用しており、また建物の構造上、お客様にとってはややご使用しづらくなっております。
恐れ入りますが、お手洗い等は他所で済ませてからのご来場をお薦めいたします。
当日劇場受付は開演40分前より行なっています。
開場は開演20分前からです。
ご来場を心よりお待ちしております。
daretachi
稽古後レポート 《最終回》
いよいよ本日12日は初日。
その前日の11日には場当たり、ゲネプロ含む総計11時間の稽古を行いました。
稽古を終えたばかりのdaretachiの5人が初日を前にそれぞれひとこと!
浅倉「えー…………×××。」
神保「ここ数日行方不明だった衣裳のシャツがついさっき出てきました。嬉しいです。」
日ヶ久保「ふふ、ふふふ。今日はチーズケーキを食べました。」
古市「肉が食べたい…!」
川口「お腹が空きました。」
どうやら11時間の稽古終わりというタイミングに聞いたのがちょっと違っていたようです。
とにもかくにも、いよいよ公演が始まります。
daretachi版『マシーン日記』、どうぞお越しください。
お席はまだまだございます。
お待ちしています!
稽古場レポート 《 川口典成 》
もう本番までラストスパートです。
ということで、演出の川口です。
アトリエに入らせていただいて、強力助っ人・村上くんやアトリエの跡見さんの協力を得て、かなり仕込んでおります。先日は稽古後に村上君が芝居で使う幕をバリバリとデザインしました。私はアルコール入れながら、お手伝い&おサボり。
明日は何度目かの通し稽古。
しかし松尾スズキさんの戯曲は難しいが愉しい。
今回、松尾さんの戯曲を自分が演出する意義は、松尾さんの戯曲をとことんリアリズムで突き詰めること、なのです。(いくつかの台詞は試行錯誤の末、上演時間の都合もありカットとなってますが、)松尾さんの独特の台詞を、観客ひとりひとりのみなさまの目の前にいる人間が喋っていてもおかしくないような形で発話してもらう、ということを試しています。
うまくいったときは大変面白い。
こんな状況、あったし、ありえる。と。
まだまだ責めていきます。
松尾さんの戯曲の言葉はまだまだ先へゆけ、迷わずゆけと私を駆り立てます。それは役者のみなさんも同じことと思います。
生きるってことがわからなくなる。そんな芝居です。